生成AIを使ってWebサイトを作ることが、急速に身近になっています。
文章を書く。
画像をつくる。
デザインを考える。
HTMLやCSSを書く。
スマートフォンに対応する。
少し前まで、それぞれに専門的な作業が必要だったことを、AIが短時間で支援できるようになってきました。
では、AIがWebサイトを作れるようになれば、Web制作会社の仕事はなくなるのでしょうか。
CREDISTA™ Labでは現在、AI時代のWeb制作について、実際に試作しながら検証しています。
今回は、その過程で見えてきたことの一部を紹介します。
AIで病院・クリニックのTOPページを作ってみた
試しに、病院・クリニックのWebサイトを想定したTOPページのデザインをAIで作成してみました。
PCとスマートフォン、それぞれで表示した場合を想定したデザインです。

AIを活用して作成した病院・クリニックWebサイトのデザイン試作。実在する医療機関ではなく、医院名・電話番号・診療内容などにはサンプル情報を使用しています。
かなり短時間でも、ここまで「Webサイトらしい」ものを作ることができます。
もちろん、これはまだデザインの試作です。
実際のWebサイトにするには、正しい情報への差し替え、コード実装、スマートフォン対応、アクセシビリティ、各種機能、確認作業などが必要です。
それでも、「Webサイトの形をつくる」という作業そのものが、AIによって大きく変わり始めていることは実感できます。
でも、「作れる」ことと「正しい」ことは同じではない
ここで、先ほどの画像をもう一度考えてみます。
見た目は、病院・クリニックのWebサイトとしてかなり自然です。
しかし、表示されている医院名や電話番号、診療内容などはサンプルです。
実際の医療機関のWebサイトを制作するなら、
「正式な医院名は何か」
「診療時間は何時までか」
「受付時間は診療時間と同じなのか」
「予約は必要なのか」
「医師の資格や経歴は正しいのか」
といった情報を、一つひとつ確認しなければなりません。
AIが自然な文章を作れるからといって、その内容がその医院の正式な情報であるとは限りません。
CREDISTA™では、人や企業が持つ一次情報や、その人・企業にしかない材料をSOURCEとして捉えています。
AIで何かを作る前に、まず「何をAIに渡すのか」が重要になります。
「正しい情報がある」だけでも十分ではない
さらに、正しい情報を掲載すれば、それだけで良いWebサイトになるとも限りません。
例えば、病院・クリニックのWebサイトを見る人にも、さまざまな状況があります。
初めてその医院について調べている人。
今日受診できるか確認したい人。
家族のために受診方法を調べている人。
予約を変更したい人。
医院へ向かう途中で、スマートフォンから駐車場や入口を確認している人。
同じWebサイトでも、置かれている状況や目的によって、必要な情報や情報を見る順番は変わる可能性があります。
CREDISTA™では、こうした人が置かれている状況をCONTEXTとして研究しています。
ただし、AIに「不安な患者になりきってください」と頼み、その反応を患者の気持ちとして扱うわけではありません。
人の心理をAIが勝手に決めるのではなく、
その状況と目的では、必要な情報へ到達できるのか。
理解して、次の行動を判断できるのか。
という観点からWebサイトを見ることが重要だと考えています。
AI時代には「制作」より「判断」が重要になるかもしれない
AIが進化すれば、Webサイトを作る速度はさらに上がっていくでしょう。
デザインも、文章も、コードも、これまで以上に簡単に作れるようになるかもしれません。
だからこそ、人間側の仕事は少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
「このデザインを作れるか」ではなく、
なぜ、この情報をここに置くのか。
誰が、何を知るためにこのページを見るのか。
AIが作った内容は、何を根拠に正しいと判断するのか。
どこまでAIに任せ、どこから人が確認するのか。
こうした「判断」の重要性が、むしろ高くなっていく可能性があります。
Web制作会社の価値も変わっていく
これまでWeb制作では、「Webサイトを作れること」そのものが大きな専門性でした。
もちろん、これからも技術やデザインの専門性が不要になるわけではありません。
しかし、AIによって制作そのもののハードルが下がれば、それだけでは違いをつくりにくくなるでしょう。
そのとき重要になるのは、
顧客の正しいSOURCEを確認すること。
その情報を見る人のCONTEXTを考えること。
AIが作ったものを人が確認し、判断すること。
そして、公開して終わりではなく、実際の反応を見ながら改善すること。
なのかもしれません。
つまり、
「何を作れるか」から、「何を根拠に、どう判断して作るか」へ。
Web制作の価値そのものが変わり始めているように感じます。
AIができることが増えるほど、人が決めることも増える
今回の試作では、AIを使うことで、病院・クリニックサイトのイメージを非常に短時間で形にすることができました。
これは大きな可能性です。
一方で、完成したように見えるものを前にすると、新しい問いも生まれます。
この情報は正しいのか。
この順番で本当によいのか。
必要な人が必要な情報へたどり着けるのか。
AIに任せてよい部分なのか。
最後に誰が責任を持って確認するのか。
AIができることが増えるほど、人間が考えなくてよくなるのではなく、人間が何を判断するのかが、よりはっきり問われるようになるのかもしれません。
CREDISTA™ Labでは、AIの新しい機能を追うだけではなく、人とAIがどのように仕事を分担し、より良い仕事につなげられるのかを、実際の制作や検証を通して研究していきます。
今回のWebサイトも、まだ試作の段階です。
ここから実際に検証し、改善していく過程そのものを、今後も紹介していきたいと思います。